円紙幣

個人金融資産、2286兆円

日銀が発表した2025年7月〜9月期の資金循環統計(速報)によれば、9月末時点で個人(家計部門)が保有する金融資産の残高は、前年同月末比4.9%増の2286兆円となったのだそうです。

前年同期と比べて4.9%増えており、伸び率は25年4月〜6月期の1.1%増から拡大し、プラスは11四半期連続となっています。

株高に加え、外貨建て資産の価値が円安で膨らんだことから、今年6月末時点の2240兆円を上回り、2四半期連続で過去最高を更新。

個人金融資産の内訳は、株式等が前年9月末比19.3%増の317兆円で、投資信託は、新しい少額投資非課税制度(NISA)への資金流入が続いているため、21.1%増の153兆円と大幅に伸び、保険は外貨建て商品の評価額が膨らみ、2.0%増の416兆円、現金・預金は0.5%増の1122兆円。 

「現金・預金」は全体の49.1%となって、18年ぶりに50%を割り込み、貯蓄から投資への流れが強まっていることが浮き彫りになっています。

消費者金融ビル

消費者金融、無人店5年で半減

日本貸金業協会の発表によれば、全国の無人店舗数は2024年9月末で2167店舗、19年9月末の4014店舗から5年でほぼ半減しているのだそうで、その理由として物理的なカードを発行しない「カードレス」による手続きが浸透し、店舗の役割が縮小しているのだとか。

店舗削減の1つ目の波は10年に完全施行された改正貸金業法で、過去に取り過ぎた利息を借り手に戻す過払い金返還請求の急増などで消費者金融の経営は悪化、各社はいったん店舗を最盛期の半分以下まで大幅に減らしており、今回は2つ目の波となり、需要回復を背景に2017年度まで店舗数を再び増やしていたのですが、ここに来て、減少ペースは加速し、23年6月末から24年6月末の1年間の減少幅は過去13年間で最も大きく、「プロミス」を展開するSMBCコンシューマーファイナンス(CF)の24年6月末の無人店舗数は前年比3割減となり、アコムとアイフルはそれぞれ1割減となっています。

店舗数減少

今回、減少しているのは運営コストが低い無人店舗で、第1波の削減の際には、店舗の中や窓口にスタッフがいる有人店舗で、SMBCCF、アコム、アイフルの3社は23年に全廃しています。

ここ数年の減少は「カードレス」の浸透によるもので、かつてはインターネット融資を申し込む際、返済時などに使うカードの発行が必要であり、そのカードが自宅に届くことで消費者金融の利用を同居する家族に知られてしまうことを嫌がり、店舗で契約する人が多かったのですが、その後コンビニなどにあるATMを利用しスマホアプリから現金の入出金ができるサービスが登場することにより、現象が加速していったようです。

SMBCCFは、17年からスマホアプリを用いてセブン銀行のATMでカードを使わずに入出金ができるようになり、20年にはローソン銀行のATMにも拡大していました。

さらに、新型コロナウイルス禍を経て店舗を利用する人はますます減り、カードレスを選ぶ人が増え、アコムやアイフルでも同様にカードレスでの契約や返済が可能となっており、こうした背景から、現在では店舗を利用せず、インターネットで融資を申し込む人が増え、3社ともに申込者全体の9割を超えているようです。

現在、消費者金融各社が直面するのが市場金利の上昇による資金調達コストの増加で、各社は銀行借り入れや社債の発行で調達した資金を顧客への貸し出しに充てており、市場金利の上昇は資金調達費用の増加に直結します。

顧客への貸し出しは、利息制限法で上限金利が決まっており、調達費用の増加を貸出金利に転嫁できません。

足元では、コロナ禍の反動もあり資金需要は拡大しており、各社とも貸付残高は増加、業績も堅調に推移しているのですが、金利上昇に備え、コストを抑制せざるを得なくなってきており、無人店舗1店舗あたりの年間維持費は平均で800万円程度もかかることから、現象は加速していっているようです。

25年3月末の国内シ・ローン残高

国内シンジケート・ローン残高、129兆800億円に

全国銀行協会が、4月30日に発表した2025年3月末の国内シンジケート・ローン残高は、129兆800億円となったようで、2024年12月末から2兆6484億円増加、組成額は引き続き堅調に推移すると見られていることから、25年度前半での130兆円の大台到達が視野に入ってきているようです。

一方、25年1~3月のシンジケート・ローン組成件数は1240件、組成金額は13兆7831億円となり、24年10~12月との比較では、件数は577件増、金額は5兆65億円増となっています。

シンジケートローンとは

シンジケート・ローンというのは、複数の金融機関がシンジケート団を組成し、各金融機関が一つの契約における同一の契約条件に基づき行うローンで、一の貸付人と借入人の相対によるバイラテラルローンと対比され、シンジケート団を組成するのは、各金融機関で負担とリスクを分散するためである。

シンジケート・ローンの対象には特に制限はなく、借入人の運転資金のため等のコーポレート・ファイナンスにおいても、買収ファイナンス、アセット・ファイナンス、プロジェクト・ファイナンス等のいわゆるストラクチャード・ファイナンスにおいても、シンジケート・ローンが組成されることがあり、担保や保証が設定される場合も、設定されない場合もある。

シンジケート・ローンは、もともとは欧米のマーケットで考案され、日本の金融実務にも受け入れられたという経緯があり、国内・国外いずれでも広く組成されています。

例えば、銀行側で10億円の貸出を1つの銀行だけで対応することは難しいと判断された場合でも、これを5つの銀行でそれぞれ2億円ずつであれば融資してもらえそうな場合、企業側としては、5つの銀行にそれぞれ条件面の交渉などをしなければならないのですが、シンジケート・ローンであれば銀行が集まってシンジケート団を組成し、企業とシンジケート団で交渉することで一度に10億円分の融資交渉が行なわれるというわけです。

このシンジケート団(複数行)のうち、1つの銀行が団を代表することになり、通常は主要な取引金融機関が代表となり、この銀行のことを主幹事行(アレンジャー)と呼び、エージェントと呼ばれる金融機関が、借入会社と各貸付金融機関との間の資金決済業務などの取りまとめを行います。